頭部外傷
脳神経外科のクリニックが果たす役割は大きい


一次救急から、二次・三次救急への橋渡し
 当クリニックでは日常的な頭部のケガを診療しています。頭部外傷では、まず骨折などの頭蓋骨損傷、脳挫傷や脳内血腫の有無を診察します。これらの外傷は時間が経過すると、重症となることも多いのでしっかりと診断していきます。これらの外傷性変化が観察された場合には、速やかに二次・三次救急施設への搬送を行います。外傷の診察では、CT検査が診断にとても役立ちます。
 創傷処置は当クリニックで行っています。3-4cm程度の創であれば、創部を洗浄した後に、医療用のホチキスで縫合ができます。創がもう少し大きい場合や、つぶれて挫滅している場合には従来通り糸で縫合します。抜糸は7日から10日後に行います。
 
 
頭部外傷にまつわる診療
 また私たちは地域の脳神経外科医として、頭部外傷そのものの診断・治療だけではなく、頭部外傷の周辺も含めて診療を行っています。
繰り返し損傷
 あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、とても大事な疾患概念です。これはスポーツなどで頭を打撲して脳振盪となったあと、ふたたび頭を打撲すると重症化するというものです。死亡例もあります。この繰り返し損傷を防止するためには、脳振盪の後はすぐには競技へ復帰しないことが大切です。復帰までの経過観察期間は、脳振盪の強さを考慮して決められます。
慢性硬膜下血腫
 頭部外傷後に1か月くらいかけて脳を覆っている硬膜と脳の間にゆっくりと血液が貯留する病気です。症状が出るような大きな慢性硬膜下血腫では手術が必要ですが、小さなうちであれば、止血剤や漢方薬の内服で治癒することもあります。
痙縮
 痙縮は、脳の病気やケガの後遺症で、手や足が突っ張る病気です。脳卒中の後遺症にこの痙縮は観察されますが、頭部外傷の後遺症としても観察されます。痙縮が強いとそのつっぱりの為に痛みが出たり、物が持ちにくくなったり、関節を十分に曲げ伸ばしできない事で関節が固まりやすくなります。このような痙縮の治療のために、現在は内服治療やボトックス治療があります。